愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『詐欺の帝王』溝口敦

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オレオレ詐欺で莫大な金額を掠め取った人物がいます。

ほとんど初めて、オレオレ詐欺という犯罪が考案された創世記に、その仕事を始めました。

 

主人公は学生時代に、イベントの事業に関わっていきます。

多額の費用が手に入り、暴力団とも顔が繋がることになります。

この時に、暴力団はお金が儲かれば怖くなく付き合えると考えるに至ります。

 

大学を卒業した主人公は、真っ当な企業に就職することになります。

まともに勤務していたのですが、そのうちに早稲田大学スーパーフリーというサークルが輪姦事件を起こして、大きな話題になります。

主人公はイベントで関わっていたので、閑職に追いやられます。

本人は違法行為を働いてはいなかったのですが、一般社会ではなかなか受け入れられなかったようです。

 

一方で、時代は闇金が全盛期でした。

暴力団が関係した企業が、高利でお金を貸して利息だけ支払わせる、という手口です。

元本は減らないので、しばらく貸していれば支払わせるお金が貸したお金を優に超えて行きます。

 

しかし主人公はこのビジネスを、効率が悪いと感じます。

もっと良い仕事を始めます。

おれおれ詐欺です。

 

様々な工夫をして、主人公はどんどんのし上がっていきます。

そして週に数千万円という収入を得るまでになります。その頃には、歌舞伎町でキャバ嬢をナンバーワンにする争いをしたり、大金を出してディズニーを貸し切ったり、あかねの使い方も異常になっていきます。

 

普通では体験出来ないことを体験する、という、まさに本の面白さが詰まった一冊です。

好みは分かれるかと思いますが。