愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『力道山を倒した男 村田勝志』山平重樹

かつて日本中でヒーローと言われていたプロレスラーがいた。 どんな外国人レスラーにも負けず空手チョップで闘う彼は、敗戦から立ち直ろうとする日本人に、大きな力を与えた。 しかし、その彼は酒乱だった。 そしてそれが元で命を落とした。 よくいく酒場で…

『女性向け風俗の現場』

タイトル通りの店を営む著者が、その体験を話すルポルタージュです。 どんな女性がこのようなお店を利用するのか。 我々男性からは、全く想像がつきません。 お金持ちのマダム? 多くの遺産を手にした未亡人? 美人だけど仕事が忙しくてそういう経験がなく過…

『ぼくをつくった50のゲーム』麒麟 川島明

「よくそんなこと覚えているな」 中学校の同窓会を二十年ぶりに開催したとき、そう言われた。 確かにつまらないことを覚えているもんだ、とそのとき我ながら感心した。 もちろん普段は忘れているし、そのとき話しながら思い出した記憶もある。 小学生の頃、…

大人の宿題

今週のお題「夏休みの宿題」 学校を卒業すると、夏休みの宿題が出される機会はない。 その分夏休みも短くなるわけでもあるが。 意識しなければ、ただ無為に日々を過ごす羽目になりかねない。 そこが大人の恐ろしさだろう。 人に違いが出るのは、そういう積み…

『自殺について』ショーペンハウェル

自殺はキリスト教では許されていません。 もちろん、時代や宗派での違いはあるのでしょうけど。 本書の書かれた時代のその地域では、どうやら許されていなかったようです。 自殺は昔から、様々な場所で行われてきています。 ギリシャ神話のヘラクレスも、エ…

『しくじり審判』

審判は試合をコントロールする役割があります。 プロの試合には観客がいて、選手たちのプレーを楽しみます。 熱狂的なファンもいたり、場合によってはお金がかかっていたりして、かなりアツくなることもあります。 だから審判は試合をスムーズに進行させるた…

『フットサルの攻めワザ』

フットサルもソサイチもサッカーも、攻める方が楽しい。 まれに守備が好きな人はいますけど。 例えばキーパーとか。 ともあれ、攻めで自分の思う通りに行ったときの気持ちよさは格別です。 守備ではやはり受け身なのと、ゴールという明確なフィニッシュはあ…

100メートル先

今週のお題「遠出」 毎朝歩いていた。 ウォーキングと呼んでも良いか、散歩と呼んでも良いか。 朝起きてすぐ、着替えてから30分ほど近所を周る。 ある時、起き抜けに立ちくらみがした。 と思った瞬間には、後ろに転んで後頭部を強かに床に打ちつけていた。 …

『ぼくのお父さん』矢部太郎

アーティストの親はアーティストである。 これは勝手な思い込みかも知れませんけど。 さて、本書は絵本作家の父親を主人公にした漫画です。 と言っても、なかなか作品が仕上がらずに、提出できない作家です。 当然その間は収入がなく、貧しい生活になります…

『脳が壊れた』鈴木大介

脳が壊れた、という経験を自分もしたことがある。 だから本書のタイトルもしっくりきたし、脳梗塞で体や思考や言語が不自由なのも、非常によくわかった。 自分の場合は転んで頭を打ったあと、一時的に思考に問題が起きたに過ぎない。 だから病院に行くまでも…

『女性向け風俗の現場』

閨房の話は、なかなか他人にできるものではありません。 さらには当事者同士は、本当に言い出しにくいケースが多いようです。 本書は女性向けの風俗業を営む男性による、ルポです。 頼む動機は人それぞれですが、パートナーとの間柄に悩んで、というものが多…

『渋沢栄一』

新紙幣のメイン人材です。 日本を良くしようと考えて勉強します。 ところが自分の進みたい道と正反対の立場から、オファーが来るという。 しかしそれを受けて、かつ日本のためになるように働きました。 こんなことは、なかなか誰でも出来るわけではないでし…

『やっぱり、僕の姉ちゃん』益田ミリ

独身の姉と弟、それぞれある程度の大人が主人公の漫画です。 弟は姉に軽くあしらわれるように見えます。 姉はマイペースで幸せそうにも見えるけど、とても難しくて生きにくそうに見えます。 柔軟なようだけど、多分人の意見を聞けないんだろうなあ、というよ…

『だだ漏れ日記』大盛のぞみ

インパクト大の表紙。 ジャケ買い、ならぬ表紙買い、をするのにふさわしい本です。 (実際には図書館で借りましたけど) 内容はさらに過激。 劇画タッチの漫画に、ストーリーも破天荒。 さらには著者の実話と来ています。 バイタリティ溢れる主人公に、こち…

『全身芸人』

昭和の芸人たちを直接取材して、紹介しています。 月亭可朝 浅香光代 松鶴家千歳 毒蝮三太夫 などなど。 昭和で、芸人、なんですよね。 あの時代だからできた。 芸人だからできた。 芸人を生きられた。 それぞれ状況は違いますが、今から見ると、恐らくああ…

『媚中』門田隆将 山上信五

吐き気がして、読み通すのが辛かったです。 と言っても、この本がダメだというわけではありません。 むしろ正反対で、全ての日本人に一読の価値がある、と言っても過言ではありません。 本当に売国奴というものは存在するのですね。 歴史は証明していますけ…

『しょせん幸せなんて自己申告』綾小路きみまろ

結構な高齢になってから、彗星の如く現れて売れた芸人である、綾小路きみまろ氏の著書。 我々からはそう見えるのだけど、それまでに氏は、ずっと芸人として舞台や営業を続けていた。 知る人には、その確かな実力を認められてもいた。 それでも、売れてはこな…

米かぁ…

今週のお題「カレー」 インドに旅行した人によると、あちらでは三食がカレー味、だったそうだ。 嫌いじゃないけど、数日で、 「カレーはもういいや」 という心境になったそうだ。 それはそうだろう、と思いつつ、そう言えば日本人は三食お米を食べることはあ…

『戦争論』ロジェ・カイヨワ

あらゆる物語は戦争から生まれた 人間の生命活動自体、非合理で無目的な消費 あそびと祭りは必要 教育は社会を豊かにする 第二次世界大戦は一人一人にとり、悲惨な体験だった しかし、皆んな熱狂して加わった 戦争とは、人間集団の破壊のための組織的企て 戦…

『群衆心理』ル・ボン

権力者による世論誘導、押さえ込みは、どれも似たような手口になる どの時代、場所でも通用するのが名著 群衆になると個性が消え、感情や概念が同一に向く 大勢の中にいるだけで不可抗的な力を感ずる 自動人形と化した群衆 動揺しやすく興奮しやすい 暗示を…

大人になった

今週のお題「最近やっと〇〇しました」 人と話していて、腹が立つことはある。 許せない、と思うことさえもある。 それが普通だと思っていました。 しかし、それらは間違いだった。 人は誰も、自分が正しいと思っている。 相手よりも自分の意見の方が正しい…

『現代詐欺師シノギの手口』

時代により仕事は変わります。 犯罪の種類もかわるけど、詐欺は昔からずっとあるようです。 それでも、その中身は変化していく。 洗練されていく、と言ったら語弊はあるようですけど。 今はネットを使って、広く罠を掛けられるし、捕まるリスクも減らせるし…

『ホームレス収容所で暮らしてみた』川上武志

ホームレスから住まいを得るのは、並大抵のことではないようです。 まずホームレスにならざるを得なかった。 だから、大変なのでしょう。 そして一度そうなると、住所不定を理由に住まいを借りれなかったり、職につけなかったりします。 そんな人たちを支援…

『ライ麦畑てつかまえて』サリンジャー

学校を中退することが決まった学生が主人公。 生意気なませた男子学生です。 会話と場面の描写、それに主人公の内面がかなりの割合を占めて、物語は進んで行きます。 古今東西を問わず、若者の考えることは同じ。 そして、全く共感出来ない部分もあるのは、…

『古事記 日本書紀に出てくる謎の神々』

名前しか出ない。 一場面しか出ない。 八百万の神様たちには、そんな謎の神々かたくさんいます。 中でも有名なのは、月読命でしょうか。 天照大神、素戔嗚尊と兄弟神なのに、ほとんど出てこないのですよね。 古事記や日本書紀は、それぞれ目的と経緯は異なっ…

『人生上等!未来なら変えられる』北尾トロ

前科のある人とは、いったいどんな人でしょうか。 本書の主人公は、自身の企業でそんな人たちを積極的に雇っています。 自身も覚醒剤で逮捕、刑務所で暮らしたという経歴を持ちます。 それでも、立派に事業を続けている。 この人だから出来る、と言えばそう…

今年

今週のお題「上半期ふりかえり2025」 今年もすでに半分が過ぎたのですね。 また、そんなに特別なこともない半年だった気がします。 それでも一日として同じ日はないように、全ての半年や一年は違うはず。 そう言えば、首や背中が痛いことが増えたのは、以前…

『ケアマネジャーはらはら日記』

様々な職業を実際に働いている人の目線で、日記形式にしたシリーズです。 ケアマネージャーは、高齢化社会において、なくてはならない仕事となって来ているようです。 それなのに、なんと大変なことか。 いや、大変だから必要なのかも知れません。 何となく…

『カラマーゾフの兄弟 1』ドストエフスキー 亀山郁夫

あらすじは知っていて、いつか原作を読みたいと思っていたのを遂に読み始めました。 ロシア文学って、やたらと長いイメージがあるんですよね。 『イワン・デニーソヴィチの一日』のような。 これだけ読んで、まだ一日も過ぎてないんかい、みたいな。 まぁ、…

『新明解国語辞典』

面白いよ、と勧められて購入しました。 国語辞典です。 その面白さというのが、読み物として、というところに興味をそそられました。 もともとは広辞苑が家にあり、それを読むこともありますが、メインはネットで調べていました。Wikipediaが多いでしょうか…