大阪の西成地区。
東京の山谷地区。
素泊まりの簡易宿泊施設(通称ドヤ)が立ち並ぶ、ドヤ街です。
著者はこれらの場所で日雇い労働者として生活してきた人格です。
一部屋にベッド込みの狭いスペースがいくつか。
これがドヤです。
隣人と、しきりを隔てて80cmの距離にいます。
舌打ちや独り言や臭いによるストレスを、かなりダイレクトに受ける生活で、とても快適と呼べる代物ではありません。
それでもその生活を選んだのは、著者が自身を人生に向いていないと判断したためです。
一般的な社会人の生活を送るよりは、ドヤでの生活の方がまし、なのです。
酒、ギャンブルをせず、風俗に行き図書館の本を読み漁る著者は、三谷ではかなり異質な存在です。
そんな著者がいたから、本書が生まれてわたしたちのような読書が、三谷の生活を知ることができたのでしょう。
紛れもなく本書は貴重です。