愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『マンガ孔子の思想』蔡志忠 和田武司 野末陳平

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春秋戦国時代の思想家である、孔子の言葉をマンガ化した著書です。

孔子自身が武将の配下として働いたこともありますが、そこを辞して様々な国を渡り歩きます。

その間に多くの弟子を得ます。

弟子たちもキャラが立っていて、とても魅力的です。それぞれを紹介してくれる箇所があります。

 

政治について。

勉強について。

人との関わりについて。

生き方について。

 

様々な教訓が数多く出てきます。

訳者の解説にもありますが、女性や身分の低い人に対しては、現在の日本にはそぐわない記述があります。

そこは、時代背景などを考えると、決して孔子が偏った人では無かった、と評価しても良いのではないでしょうか。

また、自身で記した物ではなく、弟子たちが聞いたことや対話をまとめた物です。

そのため、万人にではなく、その時点でその相手にとって役立つように話しているはずです。

そんなことを踏まえて、現代に合う物と合わない物を考えつつ読むと、とても良いようです。

 

『女という病』中村うさぎ

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女性が主役であろう、と思われる数々の重大な事件。

報道では誰が誰を殺害したか、どのような生活をしていたか、などが、ある程度明らかにされます。

が、それだけです。

その女性がどのような人間で、何を考えて生きてきて、何故そのような事件に至ったか。

そこまでは、明らかにされません。

わかっても、精神的な病を患っていたことや、警察に対して供述したこと止まりです。

そこを本書では、著者の想像で独自の見解を示して行きます。

 

実際に著者は、獄中の囚人や殺害された被害者と、直接話したわけではありません。

にも関わらず、本書では、ありありとその人物が浮かび上がってきます。のみならず、その内面までも、赤裸々にされます。

 

始めに著者が記したように、本書はルポルタージュではなく、多分に解釈というか想像が入っています。

その分、小説に近い物として読むと、かなり面白いです。

当事者の感想を聞いてみたくなりました。

『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』八木龍平

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科学者であり霊能者である著者。

このカミングアウトは、科学者としてはかなり危険だそうです。

まあ、そりゃあそうですよね。

その証拠に、年収1000万円のコンピュータメーカーを、カミングアウト前に辞めたそうです。

 

神社には知的生命体がいて、世界に大きな影響を与えている。

著者と一緒に神社に行くと、これが神さまだと教えてくれます。そのため、すぐにわかるようになります。

コツは、見る意外を意識すること。

 

チャクラや寺や気やエネルギーなど、とても盛り沢山な内容です。

また、「友だちなんていなくたって生きていける」という、タモリの言葉まで紹介してくれています。

 

笑っていいともで、「友だちの友だちはみな友だちだ。世界に広げよう友だちの輪!」と、タモリは歌っていました。

他に誰か適任はいたのでしょうけど…。

著者になのかタモリになのかは分かりませんが、残念なのは確かです。

『童謡集』金子みすゞ

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NHKの番組で見たことがある人は、多いかも知れません。

「みんな違って、みんないい」

わたしと、小鳥と、鈴。

それぞれ、出来ることと出来ないことは違うけど、みんな良いというような詩です。

そんな著者の書いた童謡集は、どんな物なのかと、手に取りました。

 

意外に物悲しい詩があったり、意味がなかなか掴めない詩があったりもします。

もちろん、元気になる詩もたくさんあります。

 

著者は二十代と、若くに亡くなっています。

だから、この作品たちも、若いうちに作った物ということになります。

もっと年を重ねていたら、どんな作品を残していたのか?

なんとも惜しい気がしました。

 

 

 

 

『日常生活で仏になる方法』齋藤孝

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著者は実に未成年の頃から仏教に興味を持ち、様々な呼吸法を実践してきたそうです。

その著者が提唱するのは、完全に悟らなくても良いのではないか?修行に身を投じなくてもある程度の悟りを得られるのではないか?という方法です。

 

ブッダは悟った人です。

悟るとどんな事が起きるかというと、非常に冷静で穏やかで、幸せに暮らせるようになります。

例えばPKを蹴ったら、ほぼ外さないのでは無いかと。

冷静です。

「あの世はあるのですか?」

という問いに対して、

「無い」

「では、超能力は?」

「無い」

理知的です。

 

では、実際の方法です。

クラシックを聴く。

ロウソクの火を見つめる。

自分の戒名を考えてみる。

などなど。

どれも簡単に実践出来そうです。

程度はまちまちですが、少しでも仏になれるのなら、やる価値はありそうですね。

 

『坊主失格』小池龍之介

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月読寺の住職が著者。

『考えない練習』、『もう、怒らない』、『偽善入門』などが著作にあります。

仏教の考え方を、わかりやすく解説している名著がたくさんあります。

そんな著者が、自らの半生を描きます。

 

小学生で担任から「ろくでなし」と言われ、中高では心の底で他人を嘲笑し、大学では他人を論破して悦に入り、実の母や妻に手をあげる。

また、道端で赤の他人に腐った果物を差し出す。

 

読んでいて、ほとんど狂人ではないか、と愕然としました。

しかし著者が言うように、そんな人が立ち直れる、と言う目で見ると、かなり貴重な著書なのではないでしょうか。

『古典落語100席』立川志の輔

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色々とお笑いはありますが、やはり古典が素晴らしいのは、確かでしょう。

なぜなら、何回聞いても面白いという事ですし、時代が変わっても一定の価値を保てていると言えるからです。

 

あたま山

らくだ

芝浜

死神

 

艶話あり、人情話あり、粗忽者や粋な職人やご隠居さんなど、魅力たっぷりです。

同じ噺でも、演じる人によりかなり違ったものになるそうです。

本書では、全ての話が約二ページになって紹介されています。

それぞれの長さは違うのにも関わらず。

著者の演じる落語を見るのが、とても楽しみになりました。