全編を通して暗い空気が漂っています。
しかし、おもしろくて笑える箇所が随所ににちりばめられています。
本の帯に書かれていることが、まさにぴったり当てはまります。
おじいさんが交通事故に会う場面で、声を出して笑ってしまうのです。
これじゃほんとに、読んでるこちらが悪い人になってしまうようです。
こだまさん、ホント勘弁してください。
タイトルのおしまいの地、というのは著書が実際に住んでいた場所に対して感じている印象です。田舎の最果ての地、何も無いところです。
そこで、金髪の豚と著者が表現するヤンキーと付き合ったり、街のおばちゃんはみんな髪型がパンチパーマだったり、なかなかファンキーですが、田舎だからそれ以外に選択肢はないんだろうな、と思ってしまうようなところがあります。
大人になり地元を出た著者は、何度か引っ越した後、物凄く臭い家に住むことになります。
その家から引っ越すまで、夫は一切の料理を禁じたくらい臭い家でした。
料理に臭いがついて食べる気がしなくなるためです。
何が悲しくてそんな家に住み続けなければならないのか、理解に苦しみます。
著者は『夫のちんぽが入らない』でデビューした方です。
こちらのほうも衝撃的な内容です。
夫と行為をしようとすると、痛すぎて、場合によっては避けて血が出てしまい、続けられない。
それが学生時代から、数十年の結婚生活の間ずっと続いている、と言うお話です。
小説なのである程度はフィクションが入っていると思うのですが、こちらも全編が暗くて重い空気に包まれています。
しかし、なぜか面白いです。切ないですけど。
カバーの風景が、本書の内容をよく表しています。殺伐として何もないけど、なんだか清々しい。そんな気がします。
本書は、辛い境遇にいる人や笑いたい人にオススメです。
辛くてもその中で楽しいことを見つけ、我慢することが得意で、でもそれは自己主張していく努力を放棄しているだけだと気づいた著者。
これからどのように生きて、私たちに素敵な著書を出してくれるのかが、とても楽しみです。