カントによる『純粋性理論批判』の解説本です。
本書は人の理性の限界を明らかにしようと試みています。
そして、宇宙の果てや神の存在など、究極の心理に対する問いに答えは出ないとしています。
この本以降、神の存在を試みる者がいなくなり、それがこの本の正確性を示しています。
ちなみに、哲学のメインテーマは究極の心理で、答えが出るものとでないものとがあります。
本書の中心課題は、どのような知識が合理性を持ち共有し得るか。どうやって共有できるか。
哲学書は、何かの課題を明らかにするため、に書かれる。
本書では以下3つの課題がある。
科学が合理性を持ち共有し得る根拠
人間が究極真理を求めて底なし沼にハマる理由
よく生きるとは?道徳の根拠
カントの講義は、人を楽しませる会話と同じだった。
哲学は、合理的な共通理解を作るための対話の営みである。
自然科学と哲学のルーツは同じ。
科学には客観性や信頼性があるとされているが、その根拠は?
道徳や美に客観的な共有知を作れるか?
→哲学での定説はない。
感性:空間や時間に様々な感覚を位置づける
悟性: 多様な感覚を整理して判断
→人はこの二層で世界を認識している
これらはアプリオリに具わっている
カントのコペルニクス的転回
テーブルがあるから見えるのではなく、テーブルだと思うからそこにテーブルが存在する。
アポステリオリ:経験により獲得される
哲学と自然科学のルーツが同じだというのは、驚きでした。
しかし、どちらも真理を解き明かすためや、共有知を得るためのものだと考えれば、頷ける気がしました。
哲学の出番は減っていると言われることもありますが、決して無くならない必要な分野な気がしてなりません。