愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『加害者家族』鈴木伸元

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犯罪が起きてそれが発覚した時に、犯人は逮捕されます。

犯人は状況により、被疑者とか容疑者とか加害者とか、いくつかの呼ばれ方をされます。

本書は、それら事件における、加害者の家族に対してスポットライトを当てています。

 

ある事件が報道されてから、ほとんど一日も経たないうちに、加害者家族としての生活が始まります。

無言電話、怒りの電話、物理的に家や庭に悪質なイタズラをされたりします。

ネットが発達してからはさらに悲惨で、住所や仕事を晒されたり、悪意のある書き込みが相当数なされたり、炎上状態です。

 

たまに加害者家族の自殺が報道されることがあります。

その裏には、多くの人により自殺に追い込まれた、という背景があるようです。

加害者とその家族は別の人である。

そんな事実がなかなか通らない。

本当に恐ろしい状況です。

未成年犯罪の場合は、親のやるべき事もかなりあるかも知れません。

そうは言っても、自殺に追い込まれるほど責められる必要はないはずです。

ましてや、加害者の子どもなどは、何の落ち度も無いと言って良いでしょう。

 

現在はネットによる攻撃が、かなりのインパクトを持っています。

しかし、やっている事は石打ち刑と何ら変わりはありません。

人類は、ある部分では数千年前より、退化しているのかも知れません。