元ヤクザ、現在牧師として活躍している著者。
表紙やタイトルにある通り、かなりのイレズミを背負っています。
自ら賭場を開いて稼ぐくらいヤクザとしては成功しますが、最も重い絶縁処分を受けたり、借金を詰めるためにガラをさらわれたりと、文字通り死にそうな目に会います。
それでも何とか生き伸びて教会の牧師として布教活動が出来ているのは、著者本人の肝が座っていて才覚があるということもありますが、神のお導きも無ければ難しかったかも知れません。
様々なところでお話をしますが、学校で生徒とのやりとりが書かれているのは、なかなか見ない光景のはずです。
イレズミ(タトゥー)を入れてみたい、という生徒にしない方が良いよ、と言います。
消すのに一千万以上の金額が必要だ、ということも一緒に教えます。
また、手彫りで色が入ると時間もかかるし、とても痛いという、経験者だからこその話が出来ます。
実戦的で、説得力が違います。
まあ、生徒さんの思っているイレズミはワンポイントくらいで、著者のような本格的な和彫りでは無い気もしますけど。
他にも覚醒剤を扱ったり、刑務所を入ったりと、かなりの極道ぶりを発揮していた著者ですが、何とかキリスト教により改心します。
その教えの中で、イエスの親分の依存症になりなさい、というような考え方が出て来ます。
これは以前こちらで紹介した『仁義なきキリスト教史』にも、出て来たのと同様の考え方かも知れません。
この二つだけ読むと、イエス・キリストはヤクザにしか思えませんが、皆さんご存知の通り決してそんな事はありません。
死の淵から生還した著者が書いています。
追い詰められている人に、もし余裕があれば、ぜひ読んで立ち直る一助にして欲しいです。