愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『私訳歎異抄』五木寛之

f:id:kazuyoshisan:20201227162352j:image

日本で一番有名な仏教の宗祖である、親鸞

その一番弟子が、親鸞の言った事を元に書いた、これもあまりにも有名な歎異抄

本書は五木寛之氏が、それを私訳したものです。

 

何よりも大事なのは、お言葉をそのまま正しく受け取ること

 

善人ですら救われる。まして悪人が救われないわけがない

人間は生きるために他の命を食すと言う、根源的な悪を抱えて生きている

狩人、漁師も業。農業も草地土の命を奪うと言う業、商いも業。

生きるものは全て深い業を持つ。すべて悪人。

己の悪に気づかない善人でさえ救われると言うのは、そういう意味である

 

薬があるからといって何もわざわざ毒を飲む事はない

 

何を指して善と言うのか、何をさして悪と言うのか自分には全くわからない

 

無常なこの世には真実はどこにも見当たらない

 

 

『善人なおもて…』

という有名なフレーズの解釈が、とてもしっくり来ました。

善と悪を決める基準がわからないというのも、世の中に真実は見当たらないというのも、とても腑に落ちました。

名訳です!