愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『仁義なきキリスト教史』架神恭介

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聖書の世界をヤクザの世界になぞらえて書いている、かなり挑戦的な作品です。

キリスト教はキリスト組、信者はヤクザ、ヤハウェやイエスが親分で、モーセは若頭です。

実に分かりやすくて、読みやすいです。

しかし、ヤクザ組織に興味が無い人にとっては、どうにもならないかも知れません。

 

磔刑にされたイエスは「エロ エロ ラマ サバクタニ(神よ 神よ どうして 私を見捨てたもうたか)」と叫び、絶命します。

それがこの本では「おやっさん!なしてワシを見捨てたんじゃあ!」

 

ヤハウェ大親分は流石です。

腰だめにしたドスで、一夜のうちにエジプトの長男たちを、たった一人で皆殺しです。

イスラエルの民が大親分の気に入らない事をするたびに、大量殺戮が行われます。

確かに聖書では、多くの死者が出ています。

このように描写をすると、ヤハウェ大親分は恐ろしすぎます。

モーセ若頭はビビりまくりです。

 

作者は聖書をしっかり学んでいる人です。

そのためヤクザ部分だけでなく、ちゃんと解説部分もあり、ただふざけているだけの作品では無い事が分かります。

そして、オドレ、殺る(とる)、モタレ、シマなどの業界用語をキッチリ使いこなしているところから、ヤクザの勉強も抜かりなく行っている事が伺われ、大変好感が持てます。

 

この本を読んで、実際の聖書を読んでみようと思う人はそう多くはないと思います。

しかし、キリスト教や聖書に興味は持てそうです。

 

キリスト教に興味がある人、ヤクザに興味がある人、キリスト教の知識がしっかりある人、ヤクザの知識がしっかりある人にそれぞれおススメです。

それぞれの人での面白さは、大分違うとは思います。

しかし、間違い無く面白く読めるはずです。