愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『偉人たちのあんまりな死に方』ジョージア・ブラッグ

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ツタンカーメンアインシュタインモーツァルト

あらゆる偉人が死んで来た。

彼らの偉業や生き方や考え方は良く知られていますが、意外に死に方は知られていません。

本書は、そんな盲点にスポットを当てた、珍しい文献です。

 

墓あらしから守るため、大きなピラミッドを作らず、ひっそりと埋葬されたツタンカーメン

若くして亡くなった、エジプトの王です。

かなりの期間無事に過ごせたのですが、ついに発見される日が来ます。

イギリス人のハワード・カーターです。

彼は王の服飾品を世界各地の博物館に配り、検死をしました。

数十年後に、別のチームがX線検査。

次はCT。

DNA検査。

一体全体、何回遺体をいじくり回せば、気が済むのだろうか?

 

カエサルは23人から滅多刺しにされ、永らく死体が放置されてしまいました。

 

鉛中毒で亡くなった、ガリレオ・ガリレイ

 

モーツァルトは連鎖球菌による菌血症からの腎盂腎炎、腎不全、尿毒症。

 

エドガー・アラン・ポーは、狂犬病

 

やはり、医療の発達していない頃の死因は、とても刺激的です。

しかし著者は、未来人から見たら、現在の治療水準の低さは笑われるものかも知れない、と考察します。

確かにそうですね。

ほんの数十年、時には数年で治療方法がガラッと変わるのは、度々あることです。

それにしても、自分はどんな死に方をするのだろう?と、普段は考えないことを考えさせられます。

その点でも、本書は良書と言えるでしょう。