あらゆる偉人が死んで来た。
彼らの偉業や生き方や考え方は良く知られていますが、意外に死に方は知られていません。
本書は、そんな盲点にスポットを当てた、珍しい文献です。
墓あらしから守るため、大きなピラミッドを作らず、ひっそりと埋葬されたツタンカーメン。
若くして亡くなった、エジプトの王です。
かなりの期間無事に過ごせたのですが、ついに発見される日が来ます。
イギリス人のハワード・カーターです。
彼は王の服飾品を世界各地の博物館に配り、検死をしました。
数十年後に、別のチームがX線検査。
次はCT。
DNA検査。
一体全体、何回遺体をいじくり回せば、気が済むのだろうか?
カエサルは23人から滅多刺しにされ、永らく死体が放置されてしまいました。
鉛中毒で亡くなった、ガリレオ・ガリレイ。
モーツァルトは連鎖球菌による菌血症からの腎盂腎炎、腎不全、尿毒症。
やはり、医療の発達していない頃の死因は、とても刺激的です。
しかし著者は、未来人から見たら、現在の治療水準の低さは笑われるものかも知れない、と考察します。
確かにそうですね。
ほんの数十年、時には数年で治療方法がガラッと変わるのは、度々あることです。
それにしても、自分はどんな死に方をするのだろう?と、普段は考えないことを考えさせられます。
その点でも、本書は良書と言えるでしょう。