『不夜城』、『マンゴー・レイン』、『漂流街』、『虚の王』などハードボイルド小説を多く書いている著者。
犯罪絡みの話が多いのですが、今回は珍しく普通の大学生が主人公です。
北海道の、田舎町に住む高校生だった主人公。
ハードボイルド小説の評者に勧められて、大学進学を機に、マーロウという酒場でアルバイトを始めます。
そこには、小説についての話を熱く出来る客が来ます。
しかし、肝心の店主は酒乱で、いつもタチの悪い絡み方をしてきます。
また、場所は新宿のゴールデン街。酔客が多く、個性的な面々が出て来ます。
途中で殺人や謎解きが出てきますが、全体として明るくて、純粋に楽しめます。
エピローグで、著者が現在のゴールデン街を訪れる場面が出て来て、やはり自伝的小説なんだとわかります。
これが著者の原点なのだと思うと、とても感慨深いです。