愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

2026-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『子ども介護者』濱島淑恵

ケアが必要な家族いる、という人は意外に多いそうだ。 施設に入れることが出来れば、まだ良い。 家族でケアをしなければならないような事情を抱えている場合もある。 そんな家庭で両親がケアをできなければ、その役割は必然的に子どもに回ってくる。 こうな…

『在宅医療の真実』小豆畑丈夫

医療費の関係で昔よりも入院しない患者さんが増えている。 その方たちは家で治療を受けながら生活していく。 家族は大変になるかも知れない。 しかし良いことがたくさんある。 家族と患者さんが一緒に生活出来ることで、患者さんの生きる張り合いが出てくる…

『ロボットと人間』石黒浩

人間と遜色ないロボットが作られた。 それは自律的に最適な話題で相手と対話する。 日本語でも英語でも、人との違いがない発音をする。 気分や好感度や関係性で対話のバラエティも豊富である。 こうなると人間とロボットの境界線は曖昧になって来る。 これが…

『証言 沖縄スパイ史』三上智恵

当時の日本は太平洋戦争を戦っていた。 末期には一人十殺などという無謀なことも叫ばれていた。 総力戦となると、普通の人も兵隊となり戦争に駆り出される。 少年も同じ。 むしろ相手を油断させられる分だけ、大人よりも優秀だったのかも知れない。 さらには…

『皇居の歩き方』

昔皇居は京都にあった。 天皇陛下が東京に来てから、実は日が浅い。 千年以上も前から京都には天皇はんがお住まいで、時代によってはほとんど塀もないくらいだったらしい。 時は下り、昔の江戸城が皇居に変わった。 一般の人も歩ける。 周辺は多くの人に人気…

『独裁の世界史』本村凌二』

民主主義は正しいか? 民主政治は正しいか? 全ての人は平等で、等しく一定の権利がある。 だが何も考えていない人と、国の現状と将来をしっかり考えている人とで、全く同じ一票の選挙権で良いのかという疑問はある。 間違いなく優秀な政治家が政治を行えば…

『八九六四 完全版』安田峰俊

天安門広場で中国共産党体制をひっくり返そうという、運動がかつてあった。 十万人の学生や市民が集まったが、軍隊が出動してこれを鎮圧した。 緘口令が敷かれているため実際に何が起きたのかは定かではないが、一万人が殺されたという説がある。 現在中国で…

『文部科学省』青木栄一

三流官庁と呼ばれているんですね。 初めて知りました。 財務省は七万人、法務省は五万人を超える職員を要するが、文科省は最少の二千人そこそこしかいない。 教育は国力の礎だろう。 子どもたちがどんな大人、日本人になるかに直接関わっているのだから。 こ…

『世界を動かすイスラエル』澤畑剛

イスラエルはユダヤ人の国だ。 長年世界に散らばっていたユダヤ人が再結集して建国された。 旧約聖書の時代には、そこはユダヤ人の国であったので、民族の悲願であったと言えるだろう。 さて、ユダヤ教とキリスト教には親和性がある。特にアメリカに多いキリ…

『檻の中の裁判官』瀬木比呂志

裁判官は世間知らずだと聞いていたが、まさかここまでとは。 判決を歪めないために、事件に関係する人たちと知り合いにならないようにする、つまりなるべく知り合いを作らない、などはわかる。 しかし、別の方向でも世間知らずはある。 出世していくと、天下…

『寿命遺伝子』森望

人間の寿命は120歳までと、何かで聞いたことがある。 各臓器の寿命などを考えるとそんなものか、と何となく感じていたのが、本書でさらに腑に落ちた。 細胞分裂のたびに染色体が短くなって行き、ある程度までで分裂が出来なくなる。 それが寿命ということだ…

『記憶喪失になったぼくが見た世界』坪倉優介

大学生が交通事故に遭って記憶喪失になった。 記憶喪失にも程度や症状が色々あるようで、本書の主人公は、一般的に思われているそれよりも恐らくかなり重い。 家族を忘れたり、知人を忘れる。 それは想像がつくが、さらに忘れていることがかなりある。 電線…

『ゼロの焦点』松本清張

結婚直後に相手が失踪してしまったら。 真相を是非とも知りたいとは、みんな思うだろうけど、果たして何が出来るのか。 今ならスマホとSNSを駆使して、もしかしたら真相に近づけるかも知れない。 しかし舞台は昭和。 それでも淡々と謎を解いていく主人公は、…

『緋色の研究』コナン・ドイル

ホームズもしてやられることがあるんですね。 それは事件ではないのですけど。 無能な刑事に手柄を横取りされるなんてね。 それでもワトスンが知っている。 だから我々読者も知ることが出来た、というわけですね。 なんともお互いにありがたいことではないで…

『火宅の人』檀一雄

やりたい事をやっている。 というのが本書の主人公なのだろう。 それにしても、やりたい放題である。 しかしそれは周りにとっては、ではなかろうか。 見ようによっては、本人はひどく辛そうに見える。 どうせこんなものは長くは続かないだろうと思ったら、案…

『二十四の瞳』壷井栄

戦争は日本にあった。 十二人が十年と少しで七人に減る。 それが戦争なのでしょうね。 なりたい職業に就けるだけで、十分幸せなのですよね。 置き屋や奉公に行かなければならないケースもある。 そう考えたら、今を生きている我々は、何を文句を言うことがあ…

『押絵と旅する男』江戸川乱歩

押絵の中に入り込むということがあり得るのか。 このような話になると、いつも果心居士を思い出す。 現実と空想の境目がなくなる奇妙な感覚。 むしろそこに境目なんてないのでは無いか、という気さえしてくる。 謎の老人というのも、現実の世界ではなかなか…

『走れメロス』太宰治

暴君を殺害しようとして捕まった男。 磔刑を言い渡される。 当然だろう。 権力者が己を暗殺しにきたものを許すわけがない。 その者に対する憎しみもあるが、その後の同様な事態を防ぐために、絶対に過酷な刑罰に処さなければならない。 そのための磔刑だ。 …

『さぶ』山本周五郎

人は誰もが愚かだ、と見ることは出来る。 自分の好きな人を手に入れるために策を弄することは、相当愚かな振る舞いに入るだろう。 利己的でもあり、倒錯してもいる。 悪人と呼ばれる人もいる。 しかし愚者と同じで、悪人では無い人が、果たしてどれくらいい…

『沈黙』遠藤周作

キリスト教徒が棄教することを転ぶ、という。 江戸時代にキリスト教が禁止され、過酷な取り締まりがなされた。 日本人の信徒たちは信仰に救いを求める。 神父たちは、文字通り人生を信仰に捧げて、日本にやっで来る。 生半可では無い。 そんな神父たちがなぜ…

『ペスト』カミュ

人は自分が不幸にある時に、それを認めようとしないことがある。 医師が診断する時も、まさか、と除外してしまうこともあるのではないか。 それが届出が必要な伝染病だったりしたら。 さらに責任の発生する立場なら。 そうでなければいい、という思いが希望…

嫌なものではあるが

今週のお題「準備していること」 知人がある出来事により裁判を控えているのだとか。 嫌なものだろうな、と知人の様子を見ていて思った。 『しなくていい苦労はしなくていい』 そんな誰かの言葉が頭に浮かんだ。 無事に終わると良いですね。 心の底から、そ…

『甲賀忍法帖』山田風太郎

忍者同士の死闘。 果たして実際にそういうことが、どれほどあったのか? 忍びの者というくらいで、影働が主だから、あったとしても表に出さないだろう。 そもそもそんな派手な仕事も少なかったのではなかろうか。 でもね。 見たいんですよ、忍法を使って大活…

『流れる』幸田文

家政婦 今の時代の一般人には、あまり馴染みが無い職業だろう。 いや、ドラマではたくさん見て来てはいるが。 本書では、その家政婦が主人公である。 それも入ったのは置き屋の世界。 普通の家で働くのも大変だろうけど、全く知らない世界に飛び込むのは、そ…

『金閣寺』三島由紀夫

金閣寺が放火により焼け落ちる。 その犯人が主人公。 なぜ、そんなことをしなければならないのか? 彼にとっては、永遠の憧れの女性のようなものか。 実際の姿を知り失望し、それでもその中に良いところを発見し、離れる。 それでも完全に忘れられない。 し…

『太陽の季節』石原慎太郎

若さと言うか幼さと言うか。 それが魅力なのだろう、お互いに。 自由は成熟とは対極にあるのかもしれない。 だから大人から見ると眩しいのか、もしくは眉を顰めるか。 もう少し大人だったら幸せになれただろうか? しかしそれだったら、惹かれ合うこともなか…

『楢山節考』深沢七郎

貧乏は罪だ、と言う言葉が確かあった。 会社を倒産させるのも、経営者による罪だ、という言葉も。 確かにさそれで不幸になる人や、ことがある。 個人ではなく共同体全体がそうなら、その悲惨さは増大する。 それにしても。 そうまでしなければならないほど貧…

『ボッコちゃん』星新一

凄いな、と物語を読んでいて思うことがある。 ショートショートの名手である、星新一の著作なんて、まさにそれだ。 実にどの話も鮮やかで自然なラストなのだ。 そして何十年も前に書かれているのに、現在の話だったり未来の話だったりする。 当時は全て未来…

『雪国』川端康成

トンネルの暗さと雪の白さが繋がっている。 夜でも雪は少しの明かりを反射するため、ほの明るく見える。 頼りない、それでも確かに存在する明るさ。 旅先での出会いもそんなものだろう。 それが家人を残してきているのなら、なおさらだ。 白黒の世界に赤が加…

『花と龍 下』火野葦平

ヤクザ者が市議会議員になる時代だった。 と言えば聞こえは良くないが、かつてヤクザは任侠という言葉で語られていた。 仁義を重んじて、弱者の味方に立っていたんですよね。 それなら市議会議員になっても良いか。 そんな気がしてきます。 今の政治家の方が…